
歯科医師の数は今後減少していくことが予想されており、2025年以降に歯科医師不足に陥る可能性が高いと考えられています。今回は歯科医師として働く人や歯科医院を経営している人向けに、歯科医師不足が予想される原因や問題のほか、歯科医師不足に対する有効な対策についてもくわしく解説するため、ぜひ参考にしてください。
歯科医師不足の時代が来るといわれている理由
現在歯科医院の数は非常に多く、エリアによってはコンビニエンスストアよりも多い場所もあるほどです。しかし、2025年以降は歯科医師の数が減って人材不足に陥ることが懸念されています。ここでは、歯科医師不足の時代が来るといわれる理由・背景についてくわしく解説します。歯科医師の年齢層が上がっているため
厚生労働省のデータによれば、2022年時点での歯科医師の年齢層でもっとも多いのは60代であり、次いで多いのは50代です。歯科医師全体の数は10万5,000人程度であり、そのうち約6万人が50代以上です。また、若年層の歯科医師が少ないことも深刻視されており、2022年時点での20代の歯科医師は約6,000人、30代は約1万7,000人であり、歯科医師を目指す人が減っていることが分かります。
歯科医師国家試験の難易度が上がっているため
歯科医師として働くには国家資格の取得が必要です。しかし、近年では歯科医師国家資格の難易度が以前よりも高くなっており、実際に合格率も80%程度から60%程度まで下がっているのが実情です。国家試験が難しくなった原因はさまざまですが、試験問題として在宅医療などのより実務的な内容を採用するようになったことや、合格者数が約2,000人になるよう調整されていることなどが要因であるといわれています。
高齢化にともない歯科治療の需要が急増するため
現在の日本は超高齢社会であり、今後も人口における高齢者の割合が増加する可能性が高いです。厚生労働省の調査によると、介護の必要性が認められている高齢者の64%以上が歯に問題を抱えており、治療を必要としています。一方で、介護が必要な高齢者で歯科医院に定期的な通院ができる人は少なく、実際に治療を受けているのはごくわずかな人数であるのも現状です。
今後は訪問での診療・治療のニーズが高まっていくことが予想されますが、先述のとおり歯科医師の数は減少していくと考えられているため、将来的には訪問による歯科治療を担える人材が足りなくなる可能性が高いでしょう。
歯科医師不足によって生じる問題
日本では歯科医師不足が深刻化することが予想されていますが、実際に歯科医師不足に陥ればさまざまな問題が生じます。ここでは、懸念される問題についてくわしく解説します。歯科医院の後継者がいない
現在歯科医師は高齢化が進んでおり、今後歯科医師不足に陥ることで歯科医院の後継者を見つけるのが難しくなるでしょう。後継者となる若手・中年層の歯科医師がいないと高齢の歯科医師が自分ひとりで診療をこなさなければならず、患者数や売上が制限されます。最悪の場合は歯科医院の経営が難しくなり、医院の維持が難しくなる可能性もあるでしょう。
地域によって治療に格差が生まれる
2025年以降は歯科医師不足が懸念されていますが、エリアによっては歯科医院・歯科医師がともに多く、供給過剰となっている場所もあるのが現状です。今後歯科医院が多い都市部でも歯科医師不足に陥った場合、地方エリアではさらに歯科医師不足が深刻化すると考えられます。地域格差が大きくなれば、地方では満足な歯科医療を受けられない可能性もあるでしょう。
歯科医師不足の時代に備えるにはどうすればいい?
現在歯科医師として働いている人は、今後本格的な歯科医師不足の時代を迎える前に、歯科医師不足に備えるための対策を知っておくことが重要です。ここでは、歯科医師不足に備えるための具体的な対策についてくわしく解説します。歯科業界に特化した人材紹介サービスを利用する
近年では特定の分野に特化した人材紹介サービスが増えており、歯科業界を専門としている業者も少なくありません。サービスを利用することで転職先を探している歯科医師を紹介してもらえるほか、採用に関する知識・経験豊富なスタッフから採用業務をサポートしてもらえるのも魅力です。コンサルサービスを活用する
コンサルサービスを利用すれば、歯科医師の採用業務をすべてコンサル業者に一任することが可能です。また、実際に歯科医師の採用が決まったら勤務開始の前後で採用された歯科医師へのフォロー対応もしてもらえるため、お互いの認識の違いによって関係構築がうまくいかない・早期に離職されてしまうといった心配も少ないのがうれしいポイントとなります。